クラウドやAWSの話題になると、会話はすぐにこうなりがちです。
「どっちが安いですか?」
「結局、AWSの方がコスト下がりますよね?」
でも実は、この時点で議論はかなりズレています。
オンプレミスとAWSの違いは、金額の大小ではありません。
本当の違いは、誰が、何を、どこまで引き受けるのかという責任の構造 にあります。
オンプレミスとAWSの根本的な違い
まず、構造を一言で整理します。
| オンプレミス | ITを「自分で持つ」前提 |
| AWS | ITを「使う」前提 |
これは、技術の違いではなく考え方の違いです。
オンプレミスでは、
- サーバーを用意し
- 容量を見積もり
- 障害や更新を想定し
- 運用し続ける
という一連の責任を、自社が引き受けます。
AWSでは、
- ITの土台部分を
- 使いたい分だけ
- 必要な期間だけ
外部の仕組みとして利用する。
この前提の差が、すべての違いを生みます。

最大の違いは「コスト」ではなく「責任の所在」
よくある誤解があります。
「オンプレミス:高い」「AWS:安い」
これは、正しくありません。
正しくはこうです。
| オンプレミス | 先に責任を引き受ける |
| AWS | 責任を分担・移譲する |
オンプレミスでは、
- 使わなくてもコストがかかる
- 想定外が起きると自社で対応する
AWSでは、
- 使った分だけ支払う
- 基盤部分の責任を持たなくていい
つまり、
お金を払っている対象が違う
だけ。
コスト比較の前に、何の責任を手放しているのかを整理しないと、正しい判断はできません。
初期投資・運用・変更対応の考え方の差
もう少し具体的に見てみます。
初期投資
| オンプレミス | 先にまとめて用意する |
| AWS | 最小構成から始められる |
運用
| オンプレミス | 常に維持・管理が必要 |
| AWS | 基盤運用は外に出せる |
変更対応
| オンプレミス | 設備の制約が強い |
| AWS | 変更前提で設計されている |
ここで重要なのは、どちらが優れているかではないという点。
AWSは「安い選択」ではなく「スピードを買う選択」
AWSについて、こんな説明を聞いたことがあるかもしれません。
AWSについて、こんな説明を聞いたことがあるかもしれません。
でも営業として整理したいのは、その一段奥です。
AWSは、「速い技術」ではなく「速く動ける前提を買っている」という選択。
- すぐ始められる
- すぐ変えられる
- すぐ止められる
このスピードと柔軟性に価値を感じるなら、AWSは合理的です。
逆に、
- 変化が少ない
- 構成が固定
- 長期前提で安定運用
なら、オンプレミスが合うケースも普通にあります。

移行=正解、ではない
ここも、営業として必ず押さえたい前提です。
「クラウド化」「AWS移行」は、目的ではありません。
あくまで、
- 事業の変化
- 組織の状況
- 運用体制
に対する手段の一つです。
「オンプレだから古い」「AWSだから正しい」という話ではない。
営業が整理すべき3つの判断軸
オンプレミスか、AWSか。
この判断で営業が見るべき軸は、3つです。
① スピード
- どれくらい早く始めたいか
- 変更はどの頻度で起きるか
② 柔軟性
- 利用量は変動するか
- 構成は今後変わるか
③ 運用負荷
- 誰が運用を担うのか
- 社内にその体制はあるか
この3つを整理すれば、「どっちが安いか」よりずっと建設的な会話になります。

さいごに
この記事は、オンプレミスとAWSを比較するための記事ではありません。判断できるようになるための記事です。
オンプレミスもAWSも、どちらかが正解ではない。
正解があるとすれば、自社の状況に合っているかどうかだけ。
この視点を持てると、AWS導入の話は「雰囲気」ではなく判断の会話になります。
次の記事では、ここまで理解した上で、それでもAWSが分かりにくく感じる理由を、思想の側から整理していきます。

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