ここまでで、
- そもそもクラウドとは何か
- AWSは完成品ではなく、部品の集合体である
- オンプレミスとの違いは判断の話である
- AWSが分かりにくいのは思想の結果である
という前提を整理してきました。
この時点で、IT営業として一番大事な問いはこれです。
じゃあ、実務ではAWSをどう扱えばいいのか?
結論から言います。
全部を理解する必要はありません。正しく“扱える”状態になれば十分です。
AWSは「全部使うもの」ではない
まず、一番多い思い込みを外します。
AWSはたくさんサービスがある→ たくさん使うもの
これは間違いです。
AWSは、
- 必要な部品だけを
- 必要な範囲で
- 組み合わせて使う
ことを前提にしたサービスです。
多くの現場では、使っているのはAWS全体のごく一部というケースがほとんど。
「全部理解してから使う」という発想自体が、AWSの思想と合っていません。
IT営業に求められるAWSの理解ライン
では、IT営業はどこまで理解していれば十分なのか。
営業が理解しておくべきこと
- AWSは「何者」か(完成品ではない)
- 何を提供し、何をしないか
- 業務のどこに関係するか
- 判断の軸(スピード・柔軟性・運用負荷)
営業が無理にやらなくていいこと
- 詳細な構成設計
- サービス単位の深い技術理解
- 料金の正確な試算
営業の役割は、技術を語ることではなく、話を整理すること
ここを間違えないことが大事です。

サービス名から話してはいけない理由
AWSの会話で、一番よくある失敗がこれです。
「EC2があって、S3があって…」
この話し方をすると、会話はほぼ確実に噛み合いません。
理由はシンプルで、
サービス名は“解決策”の話だから
です。
解決したい課題や業務が整理されていない状態で、解決策の名前を出しても、相手の頭には入りません。
AWS導入の話が噛み合わなくなる瞬間
よくあるズレは、だいたいこの順番で起きます。
- 顧客:「AWSを導入したい」
- 営業:AWSの説明を始める
- 顧客:結局、何が変わるのか分からない
ここでズレているのは、AWSではなく順番です。
営業がやるべきは、
- なぜそう思ったのか
- 何が困っているのか
- どこを変えたいのか
を一度、言語化すること。
AWSは、会話の最後に登場する存在です。

営業が立つべき「整理ポジション」
AWSの話で、営業が一番価値を出せる場所はどこか。
それは、
- 「業務」と「IT」の間
- 「顧客」と「エンジニア」の間
です。
営業は、「詳しい人」になる必要はありません。
「話を翻訳し、整理する人」であればいい。
- 顧客の言葉を構造に落とす
- エンジニアの話を業務に戻す
このポジションに立てる営業は、AWSの知識量に関係なく評価されます。
AWS全体マップという考え方
AWSを扱うときに役立つのが、「全体マップ」 という考え方です。
- すべてのサービスを覚える
のではなく - どの役割の部品があるかを把握する
例としては、
- 計算する(コンピューティング)
- 保存する(ストレージ)
- つなぐ(ネットワーク)
- 守る(セキュリティ)
という大枠を押さえる。
これだけで、
- 話の迷子にならない
- 個別サービスの位置づけが分かる
ようになります。

このあと、個別サービスをどう読めばいいか
ここまで来たら、いよいよ個別サービスです。
ただし、読み方にはコツがあります。
- 使う予定のないサービスは読まない
- 役割が分からないものは、まず飛ばす
- 「これは何を担当する部品か?」だけを見る
たとえば、
- EC2
- S3
といった記事も、
「AWSの中で何を担当している部品か」
という視点で読めば十分。
さいごに
AWSは、
全部を知る対象ではなく、正しく付き合う対象
ここまで理解できていれば、IT営業としては十分。
この先は、
- 必要なときに
- 必要な分だけ
- 必要な深さで
AWSを使っていけばいい。

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