クラウドの話をしていると、今でもこんな言葉を耳にします。
「クラウドにすればコスト下がりますよね?」
「オンプレより安くなりますよね?」
この認識は現場から完全には消えていません。
この期待をそのまま受け取ると、クラウド導入の議論はほぼ確実にズレます。
なぜ今も「クラウド=安い」という誤解が残るのか
クラウドが広がり始めた頃、確かにこういう文脈がありました。
- 高価なサーバーを買わなくていい
- 初期投資が減る
- すぐ始められる
この話が、「安くなる」という一言に雑に要約されてしまった。
そのイメージが、今も残り続けています。
クラウドで本当に変わったのは「価格」ではない
結論から言います。
クラウドで変わったのは、値段そのものではなくお金の“持ち方”です。
固定費から変動費へ、という構造変化
オンプレミスでは、
- サーバーを先に買う
- 最大利用を想定して用意する
- 使っていなくてもコストは発生する
という構造でした。
これは、固定費前提のITです。
一方クラウドは、
- 先に持たない
- 使った分だけ払う
- 使わなければ減る
という構造。
これは、変動費前提のITです。

クラウドは「コスト制御の自由度」が上がっただけ
ここが一番大事なポイントです。
クラウドは勝手に安くしてくれる仕組みではありません。
クラウドが提供しているのは、
- 使う量を選べる
- 減らす判断ができる
- 構成を変えられる
というコストをコントロールする自由度。
使い方を誤ると高くなるのは「自然」
クラウドでコストが高くなるケースは、珍しくありません。
たとえば、
- 使っていないリソースを止めない
- ピーク前提の構成をずっと維持する
- 「とりあえず便利だから」で増やす
これはクラウドの欠点ではなく、判断しなかった結果です。
オンプレでは見えにくかった無駄が、クラウドでは見える化されただけとも言えます。

だからFinOpsの話が出てくる
2025年以降、クラウドの現場でよく聞く言葉が「FinOps」です。
これは、
クラウドコストを技術ではなく運用と判断で管理する考え方
つまり、
- いくら使っているか
- なぜ使っているか
- 減らせる余地はあるか
を、継続的に見る前提に立っています。
FinOpsが必要になるのは、クラウドは放っておくと最適にならないからです。
IT営業として、どう使う話か
営業として大事なのは、こう言い切ることではありません。
- 「安くなります」
- 「コスト削減できます」
代わりに、こう整理できるかどうか。
「クラウドは、コストを下げるわけありません。
ただし、使い方を調整できる余地が大きくなる選択肢です。」
この一言が言えるだけで、
- 過剰な期待を抑えられる
- 後から揉めにくくなる
- 現実的な設計の話に進める
ようになります。
さいごに
クラウドは、
安くなるかもしれないし、高くなるかもしれない
でもそれは、
選択と運用の結果
この前提が腹落ちしていれば、
次に出てくる
- 料金体系
- 見積もり
- FinOps
の話も、感情論ではなく判断の話として扱えるようになります。

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