IT営業をしていると、こんな会話に何度も出会います。
「新しいITを入れたのに、
結局、現場はあまり変わらなかった」
この話、珍しくありません。
そしてその直後、ほぼセットで出てくる結論があります。
- ITが悪かったんじゃないか
- ツール選定を間違えたのでは
でも、ここで一度立ち止まる必要があります。
本当に問題だったのは、ITそのものだったのか?
ITを入れても、業務が自動で変わらない理由
多くの現場で起きているのは、「ITは導入された、画面もツールも変わった。でも、仕事のやり方はほぼ同じ。」という状態です。
これは失敗ではありません。
前提の理解がズレているだけです。
ITには、できることと、できないことがあります。
①情報を速く処理する ②作業を正確にする ③同じことを安定して繰り返す
こうしたことは得意です。
①誰が判断するか ②どの情報を使うか ③業務をどう回すか
こうした「仕事の設計」までは、ITが勝手に決めてくれるわけではありません。
ITとシステムは、そもそも役割が違う
ここで、言葉をきちんと分けます。
ITとは何か。
情報を集め、処理し、保存し、伝えるための「技術」
です。
一方で、システムとは何か。
特定の目的を達成するために、
IT・人・ルール・運用を組み合わせた「仕組み」
この2つは、似ているようで役割がまったく違います。
- IT:部品・道具
- システム:業務を回すための設計図
ITは、システムを構成する要素の一つでしかありません。

なぜ「ITを入れたのに変わらない」が起きるのか
理由はシンプルです。
ITは変えたが、システムは変えていないこのケースが圧倒的に多い。
- 業務フローはそのまま
- 判断ルールも曖昧
- 人の役割も変わっていない
この状態でITを入れると、混乱がデジタル化されるだけという結果になります。
ITが悪いわけではありません。
システムとしての設計が変わっていないのです。

営業が見るべきは「IT」ではなく「システム」
ここで、IT営業の立ち位置がはっきりします。
営業が本当に見るべきなのは、
- どんな業務を
- どんな流れで
- 誰が判断して
- どんな成果を出したいのか
という システム全体 です。
ITは、そのシステムを実現するための選択肢の一つにすぎません。
だから、「ITの機能を詳しく説明できる営業」よりも「システムの話を整理できる営業」のほうが、圧倒的に信頼されます。
「システムが使いにくい」の正体
顧客から、よくこんな声が出ます。
「このシステム、使いにくいんですよね」
ここで即、「UIが悪いのか」「機能が足りないのか」と考えると、話がズレます。
多くの場合、
- 業務フローと合っていない
- ルールが古い
- 人の動きが変わっていない
といった システム設計側の問題 です。
ITは正しくても、システムとして噛み合っていない。

エンジニアと営業の役割の違い
エンジニアは、
- どう作るか
- どう動かすか
を考えます。
営業は、
- なぜ必要か
- 何が変わるか
を考えます。
だから営業は、設定方法・コード・技術仕様を完璧に理解する必要はありません。
その代わり、
このITは、
どのシステムの一部で、
業務のどこを支えているのか
を説明できれば十分です。

この知識の立ち位置
「ITとシステムの違い」は、
技術知識というより 思考の切り替えスイッチ です。
- IT=技術
- システム=仕組み
この整理ができると、
- IT導入の話が整理できる
- ツール売りにならない
- DXやAIの話題でもブレなくなる
地味ですが、営業として確実に効いてくる知識です。
次の記事では、この考え方を前提に「ITは何のために存在しているのか」を整理していきます。
ここまで理解できていれば、
IT営業としてのスタートラインには、もう立てています。

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