よく出る質問があります。
「AWSとMicrosoft AzureとGoogle Cloud(GCP)は、
結局どこがいいの?」
この問いに対して機能比較やランキングで答え始めると、営業の会話はすぐ迷子になります。
それはそもそも、この問いの本質が “どれが正解か” ではなく、「自分たちがどの選択肢を取れば正しいか?」という不安や確認だからです。
だからこの記事では、「優劣」ではなく思想・立ち位置という切り口 で整理していきます。
まず大前提:クラウドは「思想」、各社は「その実装」
最初にこれを押さえましょう。
クラウドというのは“ITを使う”ための基本的な考え方であり、
AWS・Azure・GCP はその思想を実装した選択肢の一つにすぎません。
つまり、
- 「クラウドが何なのか」 → 思想(基礎)
- 「どのクラウドをどう使うのか」 → 実装(選択)
という構造です。
クラウドの思想は共通ですが、その実装は 各社のバックボーンや戦略が反映されています。
最新のクラウド市場シェア(2025〜2026年)
まず、クラウド業界全体の状況から。
2025年時点では、世界のクラウド市場は3社が圧倒的な存在感を示しています。
- AWS(Amazon Web Services):約29〜30%
- Microsoft Azure:20〜22%
- Google Cloud(GCP):12〜13%
※調査会社や時期で多少の前後あり
この3社で、世界のクラウドインフラ市場の約60〜65%以上を占めています。
つまり、営業視点でもまず押さえておきたいのは、
クラウド市場は上位3社が大きな割合を占めていて、それぞれ特徴的な立ち位置を持っている
ということです。
なぜ「機能比較」ではなく「思想と立ち位置」で見るべきか
機能比較や性能テーブルは、一見すると説得力があるように見えます。
でも実際の現場では、
- 同じサービス名でも使われ方が違う
- 構成や目的によって評価が変わる
- そもそも優劣を決める基準がない
という問題が起きます。
つまり営業として重要なのは、
どのクラウドが“顧客の文脈”にハマっているか
です。
その判断は機能比較ではなく、思想を理解した上での判断軸によってしかできません。
AWS が強い文脈
AWS は、クラウド市場で長くリーダーの立ち位置にあります。
世界シェアでもトップに立つことが多く、最大のサービス数・成熟度・導入実績を誇っています。
AWS の特徴的な思想は、
“自由度と汎用性” を最大化する実装
にあります。
これはつまり、
- どんな業務要件にも柔軟に対応できる
- 組み合わせや構成の幅が極めて大きい
- 選択肢が多い分だけ判断が求められる
ということです。
この思想は、
- スタートアップの新規構築
- 変化の激しい業務要件
- 大規模・複雑システム
のような環境でハマりやすく、数多くの選択肢から最適解を「自分で」組み上げたいケースに向いています。
Azure が選ばれやすい文脈
Azure は、Microsoft の企業向け基盤の延長線上に位置しています。
その思想は、
“既存の資産・環境と自然に統合できる実装”
です。
具体的には、
- Windows Server
- Active Directory
- Microsoft 365 / Teams
といった既存資産との親和性が高く、既存環境を残しながらクラウド化する際に強みを発揮します。
このため、企業の段階的なクラウド移行やハイブリッド構成が求められるケースではAzure が選ばれやすい構造になっています。
また、2025年時点では、Azureの成長率自体も高く報告されており、市場規模や収益面でも大きな躍進を見せています。
GCP が合うケース
GCP(Google Cloud Platform)は、Googleのテクノロジー資産を活かした思想が特徴的です。
その根底にあるのは、
“データとAI特化” を前提にした実装
です。
Google は検索・広告・データ分析のバックグラウンドがあり、それが GCP の設計思想にも反映されています。
そのため、
- 大規模データ分析
- 先進的な機械学習・AI処理
- AIモデルの学習・推論基盤
といった領域では、GCP の強みが活きるケースが多いです。

どれが「正解」かではなく、「どこにハマるか」
クラウドの選択は、顧客の課題や事業状況に応じて変わります。
たとえば、
- 成長が速く変化が多い → AWS
- 既存 Microsoft 環境が強い → Azure
- データ・AIが中心 → GCP
という具合に、“顧客の文脈”に合わせて使い分けるのが正解です。
そしてこの判断は、「詳しいサービス名をどれだけ知っているか」ではなく、「どの思想・立ち位置が合っているかを言語化できるか」で決まります。
IT営業としての実務でどう使うか
営業として議論になるのはほとんどが、
- このクラウドは何が違うのか
- 自社の環境にハマるのか
- 選択にリスクはあるか
といった点です。
このとき大事なのは、機能比較ではなく、思想と立ち位置で整理すること。
これができるだけで、判断軸を持った提案ができるという、実務で使える価値につながります。
さいごに
どのクラウドサービスが強いかではなく、どのクラウドが顧客の文脈にハマるかが重要です。
AWS・Azure・GCP はどれも大きな市場シェアを持ちながら、それぞれ 異なる思想と立ち位置 を持っています。
この前提が腹落ちすると、クラウドの会話は一気にブレなくなります。

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